先週末、ホピ族のルーベン家族と共にコロラドのチムニーロックへセレモニーに出かけた。
ルーベンの家族と叔父・叔母・姪・甥などを含めて総勢25名。
車5台連ねての長距離ドライブ。
ホピの村の境界線に来た時、ルーベンは、車の外に出て、トウモロコシを挽いた粉を道路に捲き、そこから車を改めてスタートさせた。
ホピからメキシコへ向かってマラソンをしたとき、やはりこうしてランナーはとうもろこしの粉の上を走ってスタートした。
グレートスピリットの守りの中すべてがうまく行きますように・・という祈りなのだろう。
朝9時にセドナを出発して、途中ホピの村でみんなと合流して、チムニーロックについたのは、夜の10時近く。 自分でも、よく運転したなぁ・・って思った。
現地では、ホピ以外の部族も集まり総勢100人以上がチムニーロックの麓で3泊4日のキャンピングをした。
ネイティブアメリカン以外は、私だけ。 ありがたい光栄なご招待なのであった。
赤松の林の中のキャンプ場でテントを張って過ごした。
ネイティブアメリカンたちと一緒に過ごすと時間という概念がまったくなくなる。
朝、陽が昇って少したつと林の間から、くすくすカラカラと彼らの笑い声が響く。
「あっ!もうそろそろみんな起き始めたんだな・・・じゃ、私も起きましょう・・っ」てな感じで1日が始まる。
彼らはよく笑う。
その笑いも大笑いではなくて、控え目にみんなと調和しながら笑う。
夜、日が暮れると焚き火のまわりに集い、誰かが話をする声にそっとに耳を傾け、そしてくすくす・コロコロ・カラカラと笑う。 われ先に話そうと主張する人はいない。
とても調和に満ちた空間になる。
焚き火の外でないている虫の声がまたその調和した空気によく馴染む。
ネイティブアメリカンは、狭いところにいてもそっと自分の場所を見つけて、その場に溶けてしまう。
そこにいるみんなと調和してしまう。空気みたくなってしまう。
だから狭さをまったく感じさせない。
日本人はどうかなぁ・・って感じてみた。
日本人は、狭いところにいると、相手のことが気になって意識を飛ばしあい、余計に狭さを感じがちになってしまう気がした。
キャンプ場には、シャワーが二つ付いている。
彼らは、毎朝シャワーを浴びる習慣があるみたい。
長い行列を作って静かに自分の番を待っている。
待っている間、それが当たり前のように、退屈なしぐさも見せずに静かに立って待っている。
「待つ」ことは彼らにとっては、我慢して待つことではないみたいだ。
私はどうしたかというと、1日のセレモニーが終わった後の夕食の前に、誰もいないシャワー室でゆったりと浴びた。
どうしてこの時間に浴びないのかなぁ・・って不思議に思った。
あと、不思議に思ったのが、髪の毛を三つあみに編んでいる女性がいないこと。日本人の私だけ三つ編みにしていた。
どうして編まないの?と数人に聞いたが、わからない・・みたいに首を振った。
流行りではないのかもしれない。
彼らが三つ編みにしたらネイティブアメリカンの典型パターンになってしまうからなのかもしれない。 ふ・し・ぎ・・だっ!
朝食が終わると、セレモニーの支度に入る。
ゆっくりと丁寧にセレモニーの衣装を身に着け、髪を結い、顔にペインティングをする。
それに要する時間は、2~3時間くらい。
支度から聖なる行事という感じ。
どの部族も全身隙間なく色とりどりになる。
チムニーロックの周辺には、1000年くらい前に住んでいたアナサジ族の遺跡がたくさん残っている。
キバというセレモニー場の遺跡の中で、それぞれの部族が順番に歌とダンスの祈りをささげた。
今でもアナサジ族のスピリットがそこかしこにいるのが感じられた。
そして、歌とダンスをとても喜んでいるのが感じられた。
ルーベン家族は、1日に2回踊った。
順番を待っている間、ケラケラ・くすくす・コロロコと私も一緒に笑いながら過ごした。
とても楽しかった。
セレモニーがすべて終わった4日目。
長距離運転を考えるとすぐに岐路につきたかったが、彼らは、いろいろなところにより道をする。
しまいには、カジノに寄った。カジノの中のレストランで早い夕食をとるらしい。
アリゾナのカジノは、ネイティブアメリカンが経営している。
ギャンブルをしているのもほとんどネイティブアメリカンたち。
ギャンブルといってもパチンコみたいなスロットマシーンに数ドルかけている。
一緒にセレモニーで踊っていたほかの部族たちともカジノで再び出会った。
ちょっとカルチャーショック!!
一歩カジノに入ったら、たばこの臭いとジャラジャラの騒音でクラクラしてきてしまった。
食事をパスして、駐車場の車の中で延々1時間以上も待った。
ネイティブアメリカン風に静かに楽しく待とうと思ったが、だんだんイライラしてきた。
時計をみたら「444」4時44分。
なんだか、わからないけれど、このぞろ目の数字を見たとたん車から飛び出し、みんなのところにすごい勢いで行った。
だけど、レストランにいたみんなは、のんび~りとまだ食べていて、早く食べ終わった人は、スロットマシーンで遊んでいて・・・ 、
それを見た私のイライラは、すぐさま「しゅ~~ん」と私の中に納まっていったのでした。
そんなこんなで、やっとカジノの駐車場を出発して時計を見たら、
5時44分。あっという間に、さらに1時間たっていた。
途中で、ホピ方面とセドナへ方面への分かれ道にきた。
ルーベンは、セドナへの方向に向って、道路の上にトウモロコシの粉を一直線に撒いた。
私は、そのとうもろこしの粉の上をタイヤで走り抜けた。
「よしっ!これで無事に帰りつくぞっ!」
ありがたい。ありがたい。
みんなと別れた後、セレモニーの効果か土砂降りの大雨になった。
街頭がない道、ワイパーを早く動かしても前が見えない。
ときどき、目の前に稲妻が走ってあたりを明るく照らすくらい。
「だから早く岐路につきたかったのに~~」って思う気持ちがときどきフツフツと出た。
その度、「時間という概念がない」という感覚を思い出しながら、気持ちを「す~~」と落ち着かせた。
まだまだ、修行中の私なのである。
夜中にようやく家に着き、もうろうとした中、ベッドに入った。
爆睡した。
この4日間、ネイティブアメリカンのゆったりとした空気に触れ、私の体内時計がリセットされました。
ありがたや、ありがたや。
ありがとうございます☆